私が何度も見返しているアニメに「銀河英雄伝説」があります。

最近リメイク版が放映されていることもあり、オリジナル版の存在を知る人も増えたのではないでしょうか。

田中芳樹さん原作のSF大作で、オリジナル版では本編110話、外伝52話、合計162話からなる壮大な物語です。

二人の主人公、自由惑星同盟のヤン・ウェンリー、銀河帝国のラインハルト・フォン・ローエングラムを中心に数多くのキャラクターと、それぞれの持つ背景が織りなす、素晴らしい物語です。

今日は、二人の主人公を取り上げてお話していきます。

まだ見たことのない人は、ぜひ見てからもう一度この記事を読み返すことをオススメします。(かなり時間がかかりそうですが・・・)

二人の主人公に共通するもの

ヤン・ウェンリーは、「不敗の魔術師」と言われる自由惑星同盟の命運を背負う将帥です。

外伝をご覧になるとわかりますが、ヤン・ウェンリーは軍人になりたくてなったわけではありません。

ヤンは、幼くして母をなくし、父親の手で育てられましたが、貿易商であった父の星間連絡船に同乗していたときに、父親が事故に遭って亡くなってしまいます。

歴史の勉強をタダでできる学校を探しているうちに、士官学校以外にないことを知り、仕方なく入学を決意します。

ラインハルト・フォン・ローエングラムは、没落した貴族の家に生まれ、幼いころに母親を亡くしています。父親は酒に溺れ、生活もままならない状況でした。

家族で移り住んできた家の隣に、盟友となるジークフリード・キルヒアイスが住んでいて友達となったこともあり、生活に明るい兆しが出てきたと感じていました。

しかし、ある日突然、皇帝フリードリヒ4世の後宮に姉のアンネローゼが行くことになり、ラインハルトは怒りに震え、父親を責めます。

それまで一般の学校に通っていたラインハルトは、姉を取り戻すため出世が早く望める軍人になると決意し、幼年学校へ編入します。

二人に共通するもの。

母親を早くに亡くし、父親も居なくなる(ラインハルトの場合は父親が健在ですが、父親としての役割を果たしていません)、というように、幼い頃からすでに「依存」できない環境にありました。

子どもであれば、親に甘える時期が必ずあります。「あれをしてほしい」「これを買ってほしい」と駄々をこねるのは、その典型です。

しかし、ヤンもラインハルトも、それができませんでした。自分のことは自分で解決するしか方法がなく、解決するために数多くの苦労をしてきました。

二人が、実際の年齢以上に落ち着きを見せているのは、幼い頃から自分より年齢や地位が上の者を相手にしなければならなかったからだと言えます。

二人の主人公に欠けていたもの

ヤン・ウェンリーには、先を予測する才能がありました。

目の前の戦いがどのように動いていくのか、戦いの後に政治がどのように動いていくのか、当たってほしくないと思うことが当たってしまうという、本人も困る才能がありました。

ただ、なぜその結論にたどり着くのか、その思考過程をほとんど周囲の人に話すことはありませんでした。

後にヤンの後継者になるユリアン・ミンツでさえも、ヤンから直接薫陶を受ける機会は数えるほどしかありませんでした。

そのため、ユリアン・ミンツは、ヤンの後継者となった後に同士たちをどのように導いていけばいいのか苦悩し続けることになります。

ラインハルト・フォン・ローエングラムには、時代を変革する器量がありました。

ゴールデンバウム王朝を斃し、ローエングラム王朝を興して政治体制を刷新した能力は、100年に1人以上の逸材であるという事ができます。

しかし、ラインハルトは盟友のキルヒアイスのみを頼りにして、その他の将帥や官僚たちは、自分に従うものとしてしか扱えませんでした。

キルヒアイスが亡くなって後は、数多くの人材を求めましたが、それはあくまでも帝国を発展させるためであり、自身の後継者を育てるためではありませんでした。

ラインハルトは自らを燃やし尽くすことを厭わない性格のため、特にキルヒアイスが亡くなってからは、自分のみを頼りにし、自分の子供にさえ薫陶を受けさせることができずに早逝してしまいます。

そうです。

二人は、自分以外の誰かを「頼る」ことができず、自分で抱えたまま旅立ってしまいました。

「自立的」であることは大切です。自分の足で立ってこそ人生を楽しむことが出来るようになります。

しかし、一人だけではどうにもならないことも当然あります。

そのときに、周りの人たちを頼ることが出来るのか、自分で「できない」ことを受け入れることが出来るのかが重要になってきます。

銀河英雄伝説の二人の主人公は、私たちに教えてくれています。