年明け早々に話題となった、着物レンタル会社「はれのひ」が突然閉店し、多くの新成人が被害を受けた件。

社長が謝罪会見を開きましたが、声に力はなく、視線は常に泳いで、事の重大さを感じているようでした。

しかし、あなたも思ったはずです。

「なぜ、事前に振り袖が提供できないってお客さんに伝えられなかったのか」

「今頃になって謝罪をしても、被害を受けた新成人の女性やその家族は許さないはず」

では、なぜ「今頃になって」公の場に出てきたのでしょうか?

「怖れ」が人を動けなくする

ホラー映画などでは、怪物や幽霊などが出てきた瞬間、人は、恐怖のあまりその場にうずくまってしまい動けなくなる、あるいは今来た方向へ一目散に逃げる、という行動を取ることが多いですよね。

それは、人の心理においても同じです。

自分の責任で人から責められる状況になったとき、人は、常に沈黙を守って何も話さない、あるいはどこかへ姿を消して一定程度ほとぼりが冷めるまで待ちます。

はれのひの社長は、公の場に出ることなく姿を消し、一定程度ほとぼりが冷めるまで待つことを選びました。

しかし、こうした行動は、相手の「許さない」という思いをさらに強化するだけであり、報道を見ている一般の人に感情を逆なでするだけです。

「悪いことをしたら、謝る」

小学生でもできることです。

ですが、小学生でもできることをできなくしてしまう、それが「怖れ」です。

報道によれば、はれのひの社長は、かなり前から経営状態が悪化して会社を立て直すことが難しいことを十分理解していたはずです。

であれば、倒産することを事前に顧客や従業員に告知し、代替となる業者を紹介する、再就職を斡旋するなどの措置を採るべきでした。

ところが、お金を調達することしか考えられなかったのでしょう。対応が全て後手後手に回ったことが、逆に「倒産すると分かっていて顧客を集めた」とみられる状況を作り出してしまいました。

そして、資金繰りが絶望的になったとわかった瞬間、「怖れ」が社長を襲ったことは、容易に推測できます。

向き合うまで「怖れ」は付きまとう

会社の立て直しが難しいとわかった時点で、顧客や従業員に真摯に伝えることができていたら、「申し訳ない」と謝り、自分に出来ることはすべてやる姿勢を見せていたら、顧客や従業員も納得できたでしょう。

会社を存続させることは、多大な労力を必要とします。

一説には、会社の寿命は最大30年と言われています。新しくできた飲食店が、数カ月後には全く別のお店になっていたように、新しい会社が1年に満たずに倒産することも決して稀ではありません。

私たちは、自分の会社がこれからも存続するかのように錯覚していますが、近年の経済状況から、どんなに大きな会社でもいつ倒産するか、倒産しないまでも規模の大幅な縮小を迫られるか分かりません。

株価が高いことと、実際の景気がリンクしていないことは、もう常識です。

「会社が潰れる」という怖れを感じた時にこそ、それと向き合い、関係するすべての人に対して誠実な対応をすることが重要になってきます。

今回の「はれのひ」の事件は、改めて考える契機となるでしょう。