心について学ぶようになると、必ず一度は出てくる話の中に「親の影響力」があります。

おそらく、これをご覧になっているあなたも親との関係性について相談したことがあるのではありませんか?

心に携わる多くの人が「親の影響力」「親との関係性の重要性」を指摘しています。

しかし、その一方で、カウンセリングやセラピーを受けたら、すぐに親との関係性が良くなっていくはずだと思い込んでいる人も数多くいます。

結果だけを見れば、親との関係性を回復することはできます。

ただ、すぐにというわけにはいきません。

「リピートしてほしいから言ってるんでしょ!」

とあなたは思うかもしれませんが、違います。

私は、カウンセラー・セラピストなどの仕事がなくなることを目指して、多くの人が自分で自分を癒せる方法を身に着けてほしいから、カウンセラーをしています。

だからこそ、はっきり言わなければなりません。

「たった一度で心を変えることなどできない」

ということを。

「影響力」と「刷り込み」

私の母は、祖母が亡くなってからは特に、祖母の苦労話をするようになりました。

「おじいさんが早くになくなってしまい、女手一つで私たち姉妹を育て上げた」

「おじいさんが亡くなったとき、身内に騙されて屋敷や田畑の権利を取られてしまった」

「昼も夜も身を粉にして働いて、今のこの家を手に入れた」

今思うと、ドラマや映画以上に壮絶な話だと思います。

「事実は小説より奇なり」とはよく言いますが、祖父が亡くなってから、祖母は天と地ほどの開きのある生活環境の中でも必死に生き抜いた、気骨のある女性でした。

これだけを聞けば、素晴らしい話に聞こえるかもしれません。

もしかしたら、ノンフィクション小説でも書ければ、何かの賞をもらえるくらい教えに満ちていた祖母の人生であったと私は思っています。

でも、その話を数え切れないほど聞かされてきた私にとっては、ある意味問題があったこともまた事実です。

それは、話を聞かされたことによって、いつの間にか私の心へ「刷り込み」がなされていたのです。

「財産を持っていると必ず苦労する」

「幸せは苦労しなければ決して手に入らない」

「必死に耐え抜いていくのが人生だ」

それに気づくまで、私は生まれてから30年以上の月日を要しました。

私も、親の影響力と、親の言葉による刷り込みに気づくまで30年以上必要だったのですから、あなたの場合も同じではないでしょうか?

人の心は簡単に変わらない

「それも思い込みでしょ!」とあなたはおっしゃるかもしれません。

ですが、「一瞬にして変わる」「◯日で変わる」とかいうことを言う人に限って、自分で「血の涙」を流した経験を持っていません。

血の涙を流した経験があるならば、人の心にかぶせられている「蓋」がどれだけ重いものであるかを、体験として知っています。

また、自分の体験は自分にしか当てはまらず、それぞれの人の人生をたった1つのやり方で変えていくことなどできないことも知っています。

全く異なる生活環境に生まれ、全く異なる人生を歩んできた人、その全てに当てはまる方法があると思うほうが間違いです。

人は、自らが選んだときにはじめて変わり始めます。

ただ、「選ぶ」ということには、大きなエネルギーが必要です。

自分の価値観を、180度変えてしまうことになるのですから。それに耐えることのできる人が多くないこともまた事実です。

選ぶということに「特別な何か」は必要ありません。

誠実に、愚直に進んでいくだけです。

それができるあなたになってください。