セルフ・セラピー・カード、22番目のカードは「無価値感」です。

「無価値」とは、その名の通り、自分自身の「価値」が「無い」と感じてしまうことを言います。

一口に「無価値感」といっても、どんな場面で感じているのか、誰との関係で感じるようになってしまったのか、それを見ずに「無価値感」という言葉だけを使うことに意味はありません。

人によって、特定の場面・人との関係が違うからです。

好きだからこそ感じる度合いも大きい

例えば、1年かけて準備をし練習してきたバイオリン奏者の登竜門である有名なコンテストに参加したとしましょう。

小さい頃から遊びたい気持ちを抑えて一心不乱に練習を、1日何時間も練習してきたという自負

バイオリンの指導で有名な大学に進学して、常に好成績を収めてきたという自信

一流の指導者に師事し、その厳しい指導に耐えて技術と表現方法を習得してきたという確信

両親や友人たちに支えられて、最高の環境にいることができたという感謝

そこまでには、様々な思いが駆け巡ってきたことでしょう。

ところが、あんなに練習して完璧に仕上げたはずの、曲の中で一番盛り上がるところで些細なミスを犯してしまった。

その結果、最高の評価を得ることができず、実質準優勝という結果に終わってしまった。

優勝者には即メジャーデビューしCDをリリースできることが約束されていたのに、そのチャンスを棒に振ってしまった。

準優勝でも素晴らしい成績ですから、周囲の人たちは称えてくれることでしょう。

しかし、優勝者と準優勝者との間における待遇の差が、天と地ほどの開きがあることを知っている本人はこう思います。

「準優勝なんて無意味だ」

周囲の称賛の声とは裏腹に、自分自身の存在価値を疑うようになっていきます。

そして、その思いがあらゆる場面で顔を出すようになっていきます。

隠すのではなく認めることが重要

なぜ顔を出すようになってしまうのか。

無価値感だけではなく、ネガティブな感情を感じているとき、人はその感情を隠そうとします。

無価値感を感じているはずなのに、無理矢理こう思いこもうとします。

「準優勝だって立派な結果だ。それだけのことをしてきたんだから。」

そうやって心の奥深くへ押し込もうとします。

ところが、その思いはバイオリンを弾いているときは感じないかもしれませんが、その分、日常のふとした瞬間に影響を及ぼし始めます。

一般の大学に通っている友人が有名上場企業に就職が決まった、国家試験に合格したなど、バイオリンに関係ない話であっても誰かの成功した話を素直に喜べなくなります。

そんな自分を嫌悪するようになり、人付き合いもだんだん疎遠になっていく・・・

 

これはほんの一例ですが、感じているものを無理矢理感じないように振舞えば振舞うほど、自分自身を苦しめることになってしまうのです。