セルフ・セラピー・カード、9番目のカードは「依存心」です。

私たちが成長する過程では、誰かや何かに依存する時期が必ずあります。

その最たるものが、赤ん坊の時です。

赤ん坊でなかった人はいません。あなたも私もそうでした。この世に生まれてから少なくとも2,3年間は、両親がすべての面倒を見てくれました。

ごはんを食べる。

おむつを替える。

お風呂に入る。

すべての行動を両親が見守り、支え、自分の手で出来るようになるまで導いてくれていました。両親の支えがあったからこそ、あなたも私も成長することができました。

赤ん坊の時に両親に生活のすべてを「依存」するのは当然です。赤ん坊は自分では何もできませんし、放っておけば何らかの事故に遭って死んでしまう可能性が高くなります。

仮に、生まれても誰も面倒を見てくれなかったら、数日で餓死してしまうでしょう。

こうした「健全な」依存は、人が成長する上で必要な過程なので問題ありません。

しかし、成長してから何かに「依存」する傾向を見せることは、問題を含んだものが多いこともまた事実です。

「ファン心理」に見る「依存」

「依存」とは、簡潔に言うと

「自分では決して満たすことができないと思い込んでいる【心の渇き】を、満たしてくれそうな誰かや何かに満たしてもらおうと一生懸命になってしまうこと」

お酒やギャンブルなど人以外のものであれば、いわゆる「依存症」として認識されやすく分かりやすいかもしれません。

しかし、依存する対象が「人」になってしまうと話は変わってきます。

例えば、「芸能人に傾倒するファン」。最近ではAKB48とそのファンという、極めてわかり易い例があります。

ファンを依存させる仕組みがあるのはもちろんですが、特にAKB48やそのスピンオフでできたグループにのめり込んでいるファンの行動はどういったものか。

握手券のためにCDを大人買い

秋葉原の劇場に通い詰める

コンサートにはほぼ毎回行く

普段の生活では考えられない行動をします。冷めた眼で見ている人たちを他所に、自分たちの世界を楽しみ、同じ世界を共有できる人たちとの関係性を大切にします。

とはいえ、芸能人に依存していても、グループが解散する、あるいは何らかのスキャンダルが起こると、「彼女たちも普通の人なんだ」と幻想が覚めファンは次第に減っていきます。

そんな彼ら(男性だけとは限りませんが)は、自分自身についてどのように思っているのでしょうか。心の奥ではこう思っています。

「現実にこんな僕を好きになってくれる、付き合ってくれる女性なんていない。」

だからこそ、現実に存在してはいるけれど、決して手に入れることはできない存在であるアイドルと「疑似恋愛」することによって、現実から目を背けているという構図が生まれます。

誤解していただきたくないのですが、彼らのことを悪いと言っているのではありません。

依存心の裏側にあるものを、芸能人のファンを例にしてお伝えしたいだけです。

心の渇きが招く歪んだ愛情

「依存」の状態にあると、こんな精神状態になってしまうことがあります。

「この人をつなぎ留めておくためには、何でもするし、しなければならない。」

もちろん、本人はそんなことに気づいていません。その精神状態に飲み込まれてしまっているので、自分で考えることができなくなっています。

考える基準が、すべて相手を軸にしています。

「彼女に気に入られ続けるには・・・」

「彼女を従わせるためには・・・」

「彼女にお金を出してもらうには・・・」

すべて相手から何かを得ようとするために、行動するようになってしまいます。そうして望むものが得られればいいのですが、大抵はそうはうまく行きません。

そんな場合、最悪なのは暴力という形で相手を責めること、現代で言えばDVということになるでしょうか。

そこまでの状況になっても、気づけるかどうかは難しいと言わざるを得ません。現に、あれだけ家族・恋人間のDVについて事件が起こり、マスメディアで取り上げられているにもかかわらず、跡を絶ちません。

健全な「依存」は人にとって必要です。依存できる時期があるからこそ、人は「自立」へ向かうことができます。

ただし、依存の仕方を誤ると、そこから抜け出すことは容易なことではありません。

その境界線を見極めるためには、普段の生活にある、とても小さな「依存」を満たしてあげることが大切になってきます。

「依存」が満たされれば、心は自然と「自立」へと向かいます。

そこをどうか意識してみてください。